●ジャケット絵 製作工程
? 楽園の残響(上)編 ?

楽園の残響(上)のジャケ絵を制作する途中途中でスクショを撮っておいたので、岩下のジャケ絵製作工程をご紹介します。


1.要素の決定
絵に含めたい要素を決めます
・今回はスペースオペラ的な世界を想定しているので、とりあえず星は絶対描く。
・一人の歌姫がコミュニティを支配している様子(またはその象徴)
・派手でネオクラシカルな歌劇場
これらの要素を含めてCDのジャケットにするにはそれぞれの要素をどのように配置すべきかを考えます。

歌劇場を舞台に歌う歌姫と星空を同居させる為に、「歌劇場の天蓋は映像を映すスクリーンになっている」という設定にします。
また、そのスクリーンに星空が映っている必要性を満たす為、歌姫の歌っている演目を「恒星間の移民時代を舞台にした劇」という設定を作ります。
これで背景に星空を描きつつ舞台上では「恒星間の移民時代を舞台にした劇」を演じている事になるので、その一場面を想像して役者等を想定します。

歌姫や役者を画面内に大きく描き過ぎると、その人物が主人公のようにになってしまって、男女混合で複数のヴォーカルさんが参加するアルバムのジャケットとしては相応しくないので、 歌姫をメインに据えるのは止めて、観客席からの俯瞰で星と歌劇場を目立たせることにします。

また、ここで見る人の視線(意識)の向く先をどう動かすかも考えます。
まず人物のならびに沿って舞台の奥から手前に向かって視線が動き、一段上のメルポメーネで一旦止まり、背景の壁のパースと腕、顔の向きによって宇宙船へ上がり、 最期は宇宙船と共に銀河の光の中へ、という流れを設計します。(全体的に視線が円を描きつつ絵の奥に向かって行く感じ)


2.下書き(構図の決定)
ペンタブ直描きでざっくりと下書きします。
ジャケ絵にするので、キャンバスは正方形で、印刷に出す事を考えてサイズは大きめ。
一枚の絵で沢山の要素を詰め込みたかったので、被写体の配置とカメラ位置で悩み、解決できない部分は歪みパースで吸収させることに。



3.下書き(人物の描き込み)
主要な登場人物を描き込みます。人の向きやポーズ、服装などもここで決定。



4.下書き(その他の要素の描き込み)
視線の誘導先に要素を追加していきます。
メルポメーネの上から左奥に向かって、弧を描くように配置します。
↓線画を一通り描き終えたところ。



5.星空の作成
天蓋に映る星空を作成します。

大まかに銀河と光の配置を決めます。


影を加えて・・・


光と影がせめぎ合う様に。


星を描き込みます。

全体の位置関係はこんな感じ



5.陰影の書き込み
線画に戻り、必要な全ての影と細部を描き込みます。
この段階で、フロアの1階席部分と手前の2階席部分は観客の描き込みが間に合わない事が判明。


6.陰影のバランスをとる
星空をグレースケールで重ねて、全体の陰影のバランスをとります。陰が足りない部分は描き加え、全体を馴染ませる為にテクスチャーを重ねます。



7.色彩を加える
白黒写真をカラーにする要領で、色彩を加えます。
星空のカラーはグレースケールで重ねる前のデータを利用します。



8.完成
ハイライトを加え、色彩を整えて完成。 (下の無人のフロアは後でカットしました。)


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